12 posts tagged “梅田望夫”
科学やテクノロジーを梃子にして、世界に非常に大きなインパクトを与えられる機会がそこらじゅうにころがっている。 君たち一人ひとりが個性に応じたそれぞれの機会を追求できる。 君たちみんなが、そのことに興奮すべきだ。──
ラリー・ページ There are so many opportunities where you can have a huge impact on the world by using the leverage of science and technology. All of you are uniquely positioned, and you should be excited about that.──Larry Page
シリコンバレーのもうひとつ重要な側面は、「何か新しいことを始める時に、会社をつくる、それが、大きな成功に近づくいちばん正しい方法だ」という発見です。「会社の創造というのは大発明なんですよ」というのが、シリコンバレーの信仰です。会社をつくるのは何のためかというと、「成功する確率を上げる」ということもあるんだけれど、それ以上に、「大きなことを可能にする」可能性がもっとも高い。会社というものは、お金を集めるときのやり方がルール化されている。ビジネススクールなどで、コーポレートファイナンスや資金調達について勉強するのは、何のためかというと、そういう仕組みを上手に利用するためのルールブックの勉強のようなものです。野球をやるときに、野球のルールを学ぶ、みたいに。 たとえば、エクイティファイナンスというのは、資金を調達するかわりに会社の株を放出する。これは会社という仕組みがないと、まったくできない。ある事業をスケールアップしていこうというときに、どういうメカニズムでお金を集めますか、どういうメカニズムで人を集めますか、その人を首にしたいときにどうしますか、というふうに、試行錯誤しながら事業を大きくしていくときの経験とルールが、会社というメカニズムのまわりに蓄積されている。だから、会社という道具を使うことが、もっとも、あるプロジェクトを成功に導く可能性が高い。そういうことが、シリコンバレーという土地を考えるポイントです。
君たちの時間は限られている。 その時間を、他の誰かの人生を生きることで無駄遣いしてはいけない。 ドグマにとらわれてはいけない。 それでは他人の思考の結果とともに生きることになる。 他人の意見の雑音で、自分の内なる声をき消してはいけない。 最も重要なことは、君たちの心や直感に従う勇気を持つことだ。 心や直感は、君たちが本当になりたいものが何かを、もうとうの昔に知っているものだ。 だからそれ以外のことは全て二の次でいい。── スティーブ・ジョブズ Your time is limited, so don't waste it living someone else's life. Don't be trapped by dogma─which is living with the results of other people's thinking. Don't let the noise of others・opinions drown out your own inner voice. And most important, have the courage to follow your heart and intuition. They somehow already know what you truly want to become. Everything else is secondary.──Steve Jobs
- 梅田望夫
original: http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20080629/p1
via 梅田望夫

"ヒトデはクモよりなぜ強い 21世紀はリーダーなき組織が勝つ" (オリ・ブラフマン/ロッド・A・ベックストローム)
記憶のメカニズムを研究する科学者たちの話から始まる。「脳が一生分の記憶を保存し、管理するには、命令系統が必要なはず」という科学者たちの初期仮説は崩れ、脳にはそんな中央集権型の命令系統などなく、きわめて分散した構造を持つことが明らかになった。そして「脳が丈夫なのはこの構造のおかげ」だった。
脳の構造とネットの構造が酷似していることは多くの科学者が指摘するところだ。いま私たち一人ひとりの脳の外部に、世界中の人々と情報が連結した「もうひとつの巨大な脳」とも言うべきネットの世界が生まれつつある。だとすればネット時代の組織は、脳のような分散した構造を取るのだろうか。そしてその分散構造組織は、これまでの中央集権型組織より強靭なものになるのだろうか。
via 梅田望夫

フランス・ボルドー地方の気象データの「絶対計算」によって「収穫期に雨が少なくて、夏の平均気温が高かった年に最高のワインができる」ことを明らかにした「絶対計算者」。「口にふくんでは吐き出す」やり方で、自らの舌に頼ってワインを鑑定するカリスマ著述家。両者の対立関係をめぐるエピソードから本書は始まる。
二十一世紀は、企業戦略はもちろんのこと、政策決定や医療や教育にも「絶対計算」が徹底活用される時代になる。あらゆる分野において、経験と直感に基づく「専門家」(直感主義者)が「絶対計算者」と対立する未来社会の姿を、本書は鮮やかに描く。
via 梅田望夫

"マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった" (ジョン ウッド)
ビジネススクールを出て、金融機関で経験を積み、時代の旬を生きるマイクロソフトに職を得て、寝食を忘れて働き、組織の階段をのぼって要職につき、ジョンは大きく稼いだ。
そんな彼が三週間の休暇を取ってネパールにやってくるところから本書は始まる。貧しいネパールの学校に本がないことを知り愕然とした彼は、友人や父親と協力しながらネパールに本を送り始める。その活動に伴う「生の充実」を知った彼は、仕事を辞め、上昇志向の強い恋人と別れ、「ルーム・トゥ・リード」(www.roomtoread.org)というNPOを設立する。同NPOはいまや、年間一千万ドル規模の寄付を集め、これまでにネパールやカンボジアなど七カ国で、学校を四四二、図書館を五一六〇も作った。ジョンはさらなる発展を目指し、世界中を飛び回っている。
特に本書第15章「NPOのマイクロソフトをめざす」を読むと、前半生のビジネス世界での一流の経験こそが後半生の「生の充実」のために活かせる、という彼の経験から勇気を得られることだろう。
君たちの時間は限られている。
その時間を、他の誰かの人生を生きることで無駄遣いしてはいけない。
ドグマにとらわれてはいけない。
それでは他人の思考の結果とともに生きることになる。
他人の意見の雑音で、自分の内なる声をき消してはいけない。
最も重要なことは、君たちの心や直感に従う勇気を持つことだ。
心や直感は、君たちが本当になりたいものが何かを、
もうとうの昔に知っているものだ。
だからそれ以外のことは全て二の次でいい。── スティーブ・ジョブズ
私たちは、人々がより良い教育を受けて、
より賢くなれるようなものを生み出したい。
それによって、世界の知力・知性は向上するだろう。── マリッサ・メイヤー
良い人々がより良く振る舞えるようにする環境づくりを、
本気で考えなければならないと思う。
同時にネガティブな人々のもたらす影響を弱めて
小さくすることも重要だ。── ピエール・オミディア
カウンターカルチャーは中央集権化された権力に軽蔑心を示し、
まさにそれが、リーダー不在のインターネットの世界だけでなく、
PC革命に対しても哲学的基盤を与えた。── スチュアート・ブランド
反戦の抗議活動、ウッドストック、そして長髪も忘れてしまっていい。
60年代の真の遺産は、コンピュータ革命だ。── スチュアート・ブランド
個々人が、自分の関心を持つ事柄に
影響を及ぼすことができると感じられれば、
世界をより良い場所にすることができる。
そのためには、人々が選択の自由を行使できる環境をつくる必要がある。
── ピエール・オミディア
ネットが負けるほうに賭けるのは愚かだ。なぜならそれは、
人間の創意工夫と創造性の敗北に賭けることだから。── エリック・シュミット
科学やテクノロジーを#梃子#て こ#にして、世界に非常に大きなインパクトを
与えられる機会がそこらじゅうにころがっている。
君たち一人ひとりが個性に応じたそれぞれの機会を追求できる。
君たちみんなが、そのことに興奮すべきだ。── ラリー・ページ
一からすべて命令してほしいなら、海兵隊に行けばいい。 ── エリック・シュミット
ボランティアの人たちと働くことは、伝統的な意味でのマネジメントとは
全く異なる。私は何かをしろと誰かに言うことはできない。
私にできるのは、励まし、動機づけ、ガイドすることだけ。
マネジメントなんか必要ないとも言える。
ボランティアたちはじつに頭が良く、モチベーションが高く、
自分自身をマネジメントできる人たちだから。── ジミー・ウェールズ
偉大な仕事をする唯一の方法は、あなたがすることを愛することだ。
まだ見つかってないなら探し続けろ。落ち着いちゃいけない。
まさに恋愛と同じで、見つかればすぐにそれとわかる。
そして素晴らしい人間関係と同じで、年を重ねるごとにもっと良くなる。
だから見つかるまで探し続けろ。探すのをやめてはいけない。
── スティーブ・ジョブズ
自分がやらない限り世に起こらないことを私はやる。── ビル・ジョイ
ウェブ時代 5つの定理 - 梅田望夫
(将棋の世界)
(1) 一人前になるには6,000時間の集中が必要
(2) 人間は、常に悪手の山の中を歩いている
(3) 大事なことほど簡単に決めるべし
-梅田 望夫
齋藤孝・梅田望夫対談 「大人の作法」
ネットの性格として、情報の伝播速度無限大で複製コストゼロ
日本にも反体制、ヒッピーっぽい人はいますが、その人たちは往々にして技術を持っていない。しかも、うらめしそうな視点(ルサンチマン)を世界に対して持っている。意欲でも権威の側に負けていることが多い。
テクノロジーがそういう人たちをエンパワーすると信じるのが、シリコンバレーの特徴でしょう。要するに自分一人の能力がテクノロジーによって増幅されなければ、必ず権威に負けるわけですから。
情報というのはもともと自らが流通したがるもの。Infomation wants to be free.
ITの世界には昔からずっと、こういう何かの芽は大きな筋として正しければかならず育つんだという確信がある。
ネット世界で総体として起ころうとしている大変化の雰囲気は、幕末から明治にかけての気分に近いんだと思います。それはリアル世界にも大きなインパクトを与えます。
新しく生まれた大きな存在に対して「気に入らない」と言っているとなんとかなってくれるんじゃないかと思っている。もう後戻りできないほど強大な力が働いているわけだから、そのことを前提にどうやっていくか、という議論を本当はしないといけない。
どんなものでも、新しく出てきたものには毒性が強い。酸素も、地球上に最初に発生したときは生命にとって猛毒でした。生命というものは強靭で、その毒がゆっくりと薬になっていく。ネットも最初の時期には毒性が含まれるけれど、それがいずれ克服されて薬に変わっていく。薬というか生態的に有効な機能へと転じて行く。それは、生命運動としての必然ですね。
「一つひとつの意見がもし検討違いなもので、僕が反論したくなるようなものだったとしても、それはしょうがないですよね。僕は正しい理解というのは誤解の総体だと思っています.誤解がたくさん集まれば、本当に正しい理解がそこに立ち上がるんですよ」村上春樹
知的な資源が「希少」でなく、「豊富にある」ようになるということは社会に重大な変化をもたらすと思う。そもそも社会の中で僕の憎むさまざまな「障害」や「差別」の根源には「リソース(資源)が限られている」ということがあると気づきました。
いままでの教育というのは、学校で学ぶように定められた内容について、100点をとれるように向けてあげることでした。そうではなくて、いまは学びうる範囲が無限に広がったから、選択することこそ教えなければならない。
「これからは、個人の信用はネットで保証すれば良い。誰が最初にそれに気づくか。それに気づいた人がこれからは輝くよ」と言っています。つまり、ある組織に所属するということで完結している人は、これからは輝かない。
インターネットについて「人類史上、おそらくは「言語」が獲得されて以来最大の地殻変動」
我々が脳を研究しているなかで出会った「偶有性」という概念がネットほど具体化されたものって、人類の歴史上、存在しないんですよ。考えれば考えるほどInsanelyGreat(めちゃくちゃすごい)。まだ我々は把握し切れていない。
偶有性の喜び、自分の人格をより高度なものにしていく喜びは、おそらく人間が体験できる喜びのなかでもっとも強く、深い喜びではないでしょうか。食べる喜びなんて、おなかがいっぱいになっちゃえば終わりだし、性的な喜びだって限界がある。学ぶ喜びって、限界がないんですよ。インターネットというものが、「学ぶ」という最も根源的な、オープンエンド(終わりのない)な喜びを大爆発させる機会を与えている。まさに、「知の世界のカンブリア爆発」です。しかも、一部の特権的な人だけでなく、あらゆる人に、発展途上国の人にも、その可能性が広がっている。基本的な認識はそこなんです。人間の脳の報酬系、教科学習のプロセスに作用する。触媒としての機能ですね。
要するに、それが現れたことで、脳の使い方がまったく変わったもの、ということで、「言語以来」という言い方が成立するのではないか。言語によって脳の使い方が劇的に変わったんだけど、インターネットによっても変わるポテンシャルがある。でも、まだその可能性にみんなあまり気づいていない。
警戒心を解くというのが、ネットで生きるための大切な知恵だと思うんですよ。
コミュニケーションを阻む最大のものは警戒心ですよね。あるいは、免疫作用というか。自分を守ろうとする気持ち。そういうものを取り払ってオープンにしていかないと。
オープンにするということは、人によっては不安や恐怖の対象になる。自分という者をかたくなに守っているのが、一番楽なんです。
要するに、オープンにして偶有的なプロセスでやっていかなければ、生命体の成長ということはありえない。それは生命の一大原則なんですよ。ミトコンドリアなんてもともと別の生物だったものを取り込み、共有したもの。だからこそわれわれは酸素呼吸ができるように進化した。セキュリティの問題にしても、がちがちに周囲をかためちゃう人は生命原理からはずれている。インターネットって、生命というものがどう進化してきたか、という生命原理に近い事象を、人間とか脳とか情報の領域におこすツールという感じがしている。
結局、インターネットが人類にもたらした新しい自体の背後に隠されたメッセージは、一つの生命原理ということだと思います。命を輝かせるためには、インターネットの偶有性の海にエイヤッと飛び込まないと駄目なんです。
ー茂木健一郎 + 梅田望夫
さて「好き」を核にして「「個」として強く生きること」を目指すための、小林秀雄の言う「ほんとうの助言」の試みを続けてみよう。
現在から未来にかけて「好き」を貫いていく以上、リアルとネット(SNSのコミュニティなど)の両方で「好き」を共有する友達のネットワークはある程度できているだろう。そこをちゃんとメンテナンスするのが大切だ。その中にどんな人達がいて、リアル世界で皆、何をしているんだろうと。友達って言ったって同世代ばかりじゃなく、大きな仕事をしている中高年の富裕層だって含まれるだろう。人付き合いが苦手だって、「好き」を共有する友達が相手なら、敷居はずいぶん低いだろう。
それで、そこに働きかける「営業力」を持て、というのが次の提案だ。それによって、「好きで飯が食える」で足りなければその分を補うのだ。組織に属さずに。あくまでも自主的に。貴重な時間という希少資源を自分でコントロールしながら。コモディティ化し規格化された時間給仕事には手を出さず。
人は誰しも「何かの専門性」を持っているはずだ。それが「好き」に関連して経済的意味を持つものであればベストだが、前エントリーで書いたように戦略的に取得した「ウェブ・リテラシー」を生かしたような専門性でもいい。人は誰しも一つだけの「好き」に没頭しているわけではないから、複数の「好き」を組み合わせたスキルもあるだろう。そういうものを「何かの専門性」と呼ぼう。その「何かの専門性」をちゃんと言葉にして定義するんだ。
そしてその「何かの専門性」を、「好き」を共有する友達のネットワークに働きかけて、何とか飯が食えるような「カネ」に変えるのが「営業力」だ。
「好き」を共有する100人の友達を常時メンテナンスして、10人から某かの仕事を引き受けるようなイメージ。そういう「営業力」を持てよ。そう強く勧めたい。
「営業力」と言ったって、「売れそうもない商品」を担いで「飛び込み営業しろ」なんて言っているんじゃない。売る相手は「好き」を共有する仲間。売るのは、あなたの専門性を生かした「対人サービス」だ。専門性によって時間単価は異なる。アメリカでは、職を失って次の仕事が見つかるまでの間、皆、自分の時間単価を専門性に応じて定め、友達のネットワークをあたって、その友達が困っている仕事を手伝ってカネを稼いで凌ぐ。でも次の定職につくよりも、そんなふうに気楽に知り合いの仕事をあれこれと手伝いながら、生活の固定費を少し下げて、楽しく暮らしている人達もけっこういる。すべては何か「カネに換えられる専門性」を、自分のこれまで生きて身に着けてきた知的スキルの組み合わせによって定義するのだ。
それでその「何かの専門性」を売る「営業力」を身につける。大切なのは「安請け合いはしない」と決心することだ。ここが「営業力」の肝だ。弱気になって価格破壊すれば、いくらでも売れるがそれじゃいけない。
どうだろう。そんなに難しいことじゃないと思わない?
ウェブ進化は、これまで以上に人と人とを結びつける。そしてその誰もが、リアル世界で困っていることがある。そこには需要がある。カネが回る。それを掘り起こして自分のスキルとマッチさせてカネを稼ぐ。そういうことが昔よりもずいぶん容易にできるようになった。たとえば「ウェブ・リテラシー」を持てば「好き」の周辺でかなりの確率で「時間効率の比較的よい食える仕事」が見つかるだろう。知的な仕事なら、多くの場合、在宅でできたりもする。ネット上で世界中から「時間あたりの求人」が出ている世の中でもある。そういうことにも必要に応じてトライしたっていい。「営業力」に自信がつけば、「好き」を共有する友達のネットワークの外へ、仕事の可能性を広げていったっていい。
そんな組み合わせてゴチャゴチャと稼いでいくのだ。そのときに大事な「営業力」のベースは、行動力とコミュニケーション力。でも、その行動力とコミュニケーション力って、世の中で言われているような、とんでもなく凄い行動力とコミュニケーション力じゃない。創業のエネルギーとか、大企業で「上20%」を目指すためのパワーなんていらない。
こういうことの延長線上に、自営業とか、独立コンサルタントとか、スモールビジネスとかがある。そこまで目指すかどうかは個人の選択だ。でもこういう職業のいいところは、貴重な自分の時間という資源の配分を、自分でコントロールできるというところだ。そのうち、だんだんに「好きで飯が食える」状況がよくなっていくかもしれないし、そんなことをやっているうちに、面白い出会いがあって、チャンスが巡ってきて、しばらくはこの仕事に没頭してみようなんてことになるかもしれない。
いくつか前のエントリーの感想の中に「大組織にぶら下がって、好きなことをやるのがいい」という意見があったけれど、そういう生き方(たとえば、そういう生き方を長いことしてきた人が何かの理由で大組織を出ざるを得なくなると全く競争力がない場合が多い)よりも、「好きを貫く」と「飯を食う」の接点をしつこくしつこく追い続け「営業力」を持って収入源を分散させるこちらの生き方のほうが絶対に変化に強く、したたかにしなやかに「好きを貫く」ことができると僕は思う。
これも空論じゃないよね。どうだろう。
-梅田望夫
小林秀雄が「作家志願者の助言」という文章の中でこんなことを書いている。
文学志願者への忠告文を求められて菊池寛氏がこう書いていた。これから小説でも書こうとする人々は、少なくとも一外国語は習得せよ、と。当時、私はこれを読んで、実に簡明的確な忠告だと感心したのを今でも忘れずにいる。こういう言葉をほんとうの助言というのだ。心掛け次第で明日からでも実行が出来、実行した以上必ず実益がある、そういう言葉を、ほんとうの助言というのである。
「文学志願者」への「少なくとも一外国語は習得せよ」にあたるものとして、「「個」として強く生きること」を目指す人に「ウェブ・リテラシーを持つこと」を提案してみたい。
仮に、自分が18歳で「好き」なことがあって(それはITとかウェブとは全く関係ないと仮定する)、それを「核」に、組織に強く依存した生き方をしないで「好き」を貫きたいとする。インターネットはユーザとして好きだ。そんな自分をイメージする。
そのとき「ウェブ・リテラシー」を徹底的に身につけるっていうことは、自分が18歳だったら絶対にしておきたい、という気がするのだ。理系文系を問わず。
ではウェブ・リテラシーって何?
たとえば、ネットの世界がどういう仕組みで動いているかの原理は相当詳しく徹底的に理解している。ウェブで何かを表現したいと思ったらすぐにそれができるくらいまでの能力を身につけている(ブログ・サービスを使って文を書くとかそういうことではなくて)、「ウェブ上の分身にカネを稼がせてみよう」みたいな話を聞けば、手をさっさと動かしてサイトを作って実験ができる(そこに新しい技術を入れ込んだり)。広告収入の正確な流れも含め「バーチャル経済圏」がどういう仕組みで動いているかの深い理解がある。新しい技術も、ネット上で独学できる程度までいけるベースとして、ITやウェブに対する理解とプログラミング能力を持つ。・・・・・・
ウェブ・リテラシーをあえて挙げたその理由は、
(1)独学に向く領域で、(2)若者に有利な領域で、(3)その世界の頂点を目指さなくても自分よりもリテラシーのない膨大な数の人(特に年上の人たちでカネを持っている人達の層)より上にいくことは容易に目指し得るし、(4)これから何十年にもわたって「リアルとネットの境界領域での需要」はあらゆるところであり続けるから他のスキルに比べればつぶしがきく、(5)「好き」と「表現」の接点では、そもそもものすごく重要なスキルなので「好き」の延長上での自然な営みとして身につけられるかもしれず、(6)学歴とかあまり問われず「今何ができるか」が求められる傾向にある・・・・・・
- 梅田望夫